雑記

Zoomビデオ会議で旧式CPU(Core2Duo)を静音化

Core2DuoでZoom会議

私のメインPCは、未だにMacbook Pro Mid 2009 13インチモデルです。

メモリ8GBで256GBのSSDを積んでいるので、Microsoft Office 2019やMicrosoft Edgeも快適に利用できます。

しかしさすがにZoomビデオ会議やMicrosoft Teams会議に使っていると、会議が長引くと冷却ファンのフル回転となります。

それでも第8世代Core iのように熱暴走しないところは流石なんですけれども、冷却ファンの回転音は好きじゃありません。(それで12.9インチiPad Proを使っているという面もある)

そういう訳で今回は、ネタとして空冷式Macbook Pro Mid 2009でZoomビデオ会議することに挑戦してみました。

構想

まずCore2Duoは10年以上前の旧式CPUです。Core iシリーズでサポートされているターボブースト機能が実装されていません。それで性能を出そうとすると、どうしても「目いっぱい発熱させて、その分だけ目いっぱい冷却する」という設計思想になります。

それに対してCore iシリーズは「必要な分を必要なだけ」といったスマートな設計思想です。だから筐体内の冷却には冷却ファンを使用します。

これが当たり前だろうと思った方は、大変にお若い方でしょう。Core2DuoではGPU (Graphic Processing Unit) の発熱問題もあって、ノートパソコン底面も放熱機構として利用されていました。

それどころかアームレストも熱くなるし、キーボードまで温かくなるのがCore2Duoマシンの特長です。「速かろう、熱かろう」というところでしょうか。

しかし昨今のZoomやTeamsみたいなビデオ会議のご時世には、最新の設計思想では問題になることがあります。もともとパソコンは、パーソナルコンピュータの略語です。銀行の勘定システムで利用されるメインフレームコンピュータとは設計思想が異なります。

ひどい言い方をすると「安かろう、悪かろう」です。ともかく個人が使えるように低価格に仕上げるため、大量生産の技術を採用します。そして使えそうな新技術があれば、積極的に採用して行きます。

だからメインフレームコンピュータは数千万円から数億円でデータセンタといった建屋まで設置に必要となるのに、世の中にはノートパソコンのようなモバイル端末まで出回っています。

もちろん新技術を積極採用したことと、大量生産のおかげで素晴らしいマシンが手頃な価格で提供されるようになりました。しかし根っこの部分では、昔ながらのパソコン設計思想が顔を出します。

だから最新ノートパソコンでは、「そんなにパソコン本体が熱く感じられないのに熱暴走する」という状況になります。WindowsやmacOS/iOSとハードウェアの間で働くハードウェア制御プログラムにもバグが潜んでいます。

いやバグというと失礼でしょう。Core iのターボブースト機能を始めとする最新ハードウェアを制御するためには、制御プログラムも高度で複雑なものが必要です。

非常に微妙なタイミングで正確に並列制御することが必要だったりします。これが最近になって急に開発が進んがビデオ会議システムという、カメラやマイクやスピーカーまで「ハードウェア総登場!」といったシステムで限界まで駆使されるのです。

当然ちょっとしたタイミングで想定外のことが生じることがあって、そんな時にはハードウェア制御プログラムは無限ループに陥ったりします。技術者としては、そんな時のためには「とにかくハードウェアを壊したら問題だから、何かあったら冷却ファンをフル稼働させろ」というプログラムを安全保障的に組み込むことになります。

だから熱暴走で冷却ファンが回り続けても、それはある意味で「想定内の暴走」とも呼べるでしょう。… すいません、話が逸れました。

ともかく旧世代のCore2Duoは、そういった意味で「アツアツのパソコン」となる代わりに、パソコン底面まで使って安定動作してくれることが特長です。だから底面を冷やしてやれば、そこからパソコン全体の冷却という「外部冷却」ということが可能になります。

だから映画シンゴジラのように、口から液体を経口投与しなくても、足の裏を冷やしてやれば良いのです。この構想に基づき、Core2Duoノートパソコンの体外冷却システムの部品調達を進めることが出来ます。

冷却材

今回の作戦は、ゴジラ … じゃなくてCore2Duoノートパソコンの底面に、ピッタリとアルミニウムの冷却フィン(ヒートシンク)を装着します。

材料には縦100mm x 横600mm x 高さ10mmのアルミニウム製ヒートシンクを10枚投入することにしました。もしかしたら高さ36mmの材料を投入したら、風力源なしの自然空冷だけでも大丈夫かもしれません。

(ただし36mmの高さにMacbook Pro (Core2Duoマシン)を搭載すると、キーボード操作などが面倒になりそうです。外部キーボードという手段もありますけど、ここはお手軽な10mmヒートシンクを採用することにしました)

Core2DuoでZoomビデオ会議

冷却源

扇風機でノートパソコンに送風すれば万事解決するかもしれませんけど、新たな電力消費は家計の経済的危機のリスクを増大させる可能性があります。

そこで今回は既に存在する24時間給気口と空気清浄機の二者から、空気清浄機を利用することに決定しました。

Core2DuoでZoomビデオ会議

ちなみにこのダイキン製の空気清浄機も、10年以上前から稼働している年代物です。そろそろ買い換えたいところですけど、みんな貧乏が悪いのです。

Mikan
Mikan
父ちゃんがウナギとか変なものを買わなきゃ大丈夫なんじゃないの?

なお冷却剤と冷却源の間を接続するために冷却パイプなどが欲しいところですけど、これは家庭にある素材で間に合わせることにします。

組み立て

さていよいよ実証テストの開始です。作戦コードネームがあると嬉しいので、”ヨツオリ作戦” とでも命名しましょうか。

冷却パイプはありませんので、スーパーなどで雨天時に配布されている傘袋などを使いたいところです。しかし夜間に家族の目を盗んで実施するテストのため、もう今から調達していたのでは間に合いません。

そこで今回は、大型のポリ袋を使用します。プラスチックごみ等を捨て忘れた時に、屋内で密封保管に利用しているものです。

奥さま
奥さま
余計なことは書かなくて宜しい!

さすがに全経路をポリ袋にすると、モッタイナイお化けが出現しかねません。ここはポリ袋を半分に切って利用します。

Core2Duoマシン向け冷却パイプ

ちなみに微妙なところに貼られている正方形は、作業時のトラブルに生じた「小さな穴」を塞ぐために貼っています。

このあたりの作業は宇宙服の気密性のように、完璧を期す必要があります。下手をすると、そこから空気が漏れかねません。日本人が得意とする、丁寧さが生きて来ます。

Mikan
Mikan
父ちゃん、全く日本人っぽくないし、作業も丁寧じゃないじゃん

… さて話を続けましょう。問題となるのは、「このように作成した給気ホースの各部品を、どうやって気密性を維持しながら接続させるか」です。

もともとビニールの折り目に沿って半分に切った部分は大丈夫でしょう。問題は、空気清浄機の吹き出し口のポリ袋から半分サイズに細くなる部分です。

Core2Duoマシンの冷却ホース

こんな時こそ、ベテラン技術者の経験が活きて来ます。2L大型ペットボトルの胴体部分を切り取り、給気ホースの接続部分を円柱の筒で接続するのです。

Mikan
Mikan
父ちゃん、変なところは知恵が回るからなあ

さて以上の作業によって、ヨツオリ作戦における最大の懸案事項である給気ホースが完成しました。あとはこれを、冷却源の空気清浄機と冷却フィン(ヒートシンクのシート)に接続すれば完成です。

Core2Duoの給気ホース

この接続作業はシンゴジラとは異なり、何もトラブルなく接続完了しました。そしてゴジラ … じゃなくてMacbook Pro Mid 2009はCPU負荷100%の状態が1時間以上も継続したにも関わらず、見事に静音状態のままミッション・コンプリートしたのでした。

なお普通にZoomビデオ会議ソフトウェアを実行するだけならば、CPU負荷率50%なので大したことはありません。プレゼンテーションようにPowerPointを立ち上げていても大丈夫です。

そこで今回はスペック的に無理だと言われているバーチャル背景を動かしてみました。その結果は冒頭画像の通りで、やっぱり部分的にしかバーチャル背景が機能しませんでした。

なおCPU負荷率を90%以上にするためには、バーチャル背景を動かす以外の方法もあります。それがいつも冷却ファンが全開となる “Windowsアップデート” です。

これは流石に完全静音という訳には行きませんでしたけど、かすかに冷却ファンが回転する程度でした。アルミニウム3kgの静冷台に載せても、すぐに冷却ファン全力回転になるタスクです。やはりヒートシンクなどを使って空冷するというのは、大変に効果的であることが分かります。

(とはいえ最も効果があるのは水冷で、私の人工知能マシン(NVIDIA TITAN X搭載マシン)は空冷では無理だったので、簡易水冷方式を採用して静音化しています)

Core2Duoの冷却ホース

ちなみにこれがヨツオリ作戦を遂行中の模様です。見事に給気パイプが膨らんでおり、強制空冷方式が効果的に働いていることが分かります。気密性もバッチリです。

Mikan
Mikan
これ見た時は、ビックリしたよ。ホント!

なお空気洗浄機は最小出力の静音モードで稼働させていたので、24時間給気口からの空気でも全く問題ないでしょう。今回は花粉シーズンのために採用を控えましたけど、機会があれば同様に実証テストしてみたいところです。

(その前に高さ36mmの冷却フィンの効果測定ですか … 予算の認可が下りそうにないなあ)

まとめ

と、いうことで、そもそも何もしなくても全く問題なくZoomビデオ会議ソフトウェアを実行可能なCore2DuoなMacbook Proですけれども、ヨツオリ作戦によって完全静音状態で長時間稼働させることにも成功しました。

以上をもってヨツオリ作戦をしますが、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。長文なので大変だったでしょう。おつかれさまでした。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

P.S.
12インチのファンレスMacbook 2017が欲しいなあ。

———————————
記事作成:よつばせい