iPhone 8以降では、PD高速充電が可能になっています。
今回は少々事情があって、手元にPD高速充電用の機器が揃いました。PD高速充電の紹介だけでは面白くないので、危機… ではなくて機器の入手に関する顛末も紹介させて頂くことにします。
どちらかというと、成功談よりは失敗談になります。
PD高速充電とは
PDとは「Power Delivery対応」の略語です。PD対応の高速充電器を利用することにより、短時間での充電が可能です。ただし短時間といっても、従来の半分になるということはありません。
むしろ嬉しいのは、バッテリー残量がゼロに近い状態の時に、短時間で一定の容量まで充電できるようになることです。Appleがテストしたケースでは、30分で殆ど残量ゼロの状態から50%まで達したとのことです。(冒頭画像も30分で50%です)
対象はiPhone 8以降なので、相当多くの人が利用可能でしょう。その割には普及していないのは、しばらく前の機種まで「PD非対応の充電器」と接続ケーブルだったからです。
上記のURLでも紹介されているように、「USB Power Delivery (USB-PD) に対応する、互換性のある他社製の USB-C 電源アダプタ」が必要なのです。最近はiPad ProでもUSB-Cポートが装備されていますけど、まだまだ既存USBポートも健在です。
ちなみに私用にではありませんが、しばらく前にiPhone 12 Pro Maxを購入した時には、Au Shopのスタッフさんから、次のように説明を受けました。
“iPhone 12 Pro MaxではLightning(iPhone側)の接続ポートで、充電器側はUSB-Cタイプの接続ケーブルが付属されています。高速充電が可能ですけれども、充電器を購入する必要があるので注意して下さい。なお既にお持ちのiPhone 6s Plusの接続ケーブルと充電器も利用可能です。”
その時の私は何も知らなかったので、「iPhone 12 Pro Maxはそんなに大量のバッテリーを消費するのかな? ともかく何かスゴそうだ」と聞き流していました。
PD対応高速充電器の購入
さて防月某日、私は近所のコンビニまで出かけました。ちょっと仕事に疲れたし、iPhoneでUSBキーボードを試してみたくなり、Lightning-USB-C変換アダプタを購入したいと思ったのです。
その時に体調不良の家族が、「何買うの? 何買うの?」と、ウキウキした調子で尋ねて来ました。お菓子だったら、お裾分けを分けを期待したのだそうです。
しかし … その時の家族は、おかゆさえ消化できない体調でした。幸い回復の気配を見せており、それで食欲が戻って来たので質問したそうです。
気の毒だけれども、お菓子を買うことは出来ません。説明に萎れた家族を自宅に残し、私は分銅不足解消も兼ねて近所のコンビニへ出かけたのでした。
で、Lighting-USB変換アダプタを購入した際、「そういえば … 」と思い出して、PD対応の高速充電器も購入したのでした。
何しろ家族は日頃からスマホ中毒です。出かける時にバッテリー不足だと騒ぐのは日常茶飯事です。その時には、ちょうど良い気分転換になることを想像していました。
窮地とAmazon
しかし自宅に帰った私には、厳しい現実が待ち受けていました。
まずLightning-USB変換アダプタですが、USBキーボード接続に使うことが出来ませんでした。USB変換アダプタには間違いないのですが、USB-Cではなくて、USB-Bだったのです。
確かに過去に接続ケーブルの予備品が欲しかった時、予算節約のためにLighgting-USB-B変換アダプタを購入した経験があります。あの頃は自宅にUSB-B接続ケーブルが山ほど余っていました。
しかし … USB-Cが普及しつつあるご時世に、何でコンビニでLightnig-USB-B変換アダプタなのでしょうか。確認してみると、別な系列のコンビニでもLightning-USB-B変換アダプタしか販売していません。
おまけに最大のダメージとして、PD高速充電器が使えないことが判明しました。
いや、普通の充電器としては使えるのです。ただしUSB-Cポートの出力が18Wなのです。念のために確認したら、iPhone 12 Pro Maxでは20W以上が必要なのだそうです。
自分の迂闊さに気付いた時には、「あとの祭り」でした。
2つの機器の価格を合わせると、稲造さん一枚に近いです。気分転換どころか、さらなるダメージです。
家族だけでなく、私まで暗くなってしまっては、家庭の中が暗黒の結界で閉ざされかねません。ピンチに陥るのは、いつものことです。何とかならないものかと、灰色にくすんだ脳細胞がフル回転します。
iPhone 12 Pro Maxではダメ、Lightning、USB-B …
「ん?」、ピカリと何かが閃きます。
Lightning-USB-B変換アダプタとUSB-C対応のPD高速充電器を、ケーブルで接続してしまうという方法はどうだろうか?
そういえば私は会社から業務用にiPhone 8を支給されています。こまめに充電を心がけているつもりですけど、Plusのない「ただのiPhone 8」です。今は確認プログラムを導入してBluetoothをオンにして持ち歩くように指導されており、バッテリー切れ寸前でヒヤヒヤすることが多いです。
特殊なアダプタは購入していないので、そういう時はスピーカーマイクで電話会議に参加しなければなりません。そういう意味では、iPhone 8が高速充電できれば、それは大変に嬉しいことです。
をを、何とAmazonからUSB-BとUSB-Cを変換するケーブルが販売されているではないですか! 嬉しいことに、給電側がUSB-Cとのことです。
(ま、最初からコッチを購入した方がコスパ良い&賢いですけど)
そんな訳で、さらに傷口を大きくするというか、いそいそと私はAmazonに “Amazonベーシック USBケーブル 15cm (タイプC – マイクロ2.0タイプB) ブラック” を注文したのでした。
結果、オーライ
そうして翌日になったものの、ケーブルは無事に我が家に到着しました。
と、ここまで来て、悲しいことに気付きました。
PD高速充電対応ケーブルを購入する時には、”Apple MFi認証取得済み” が明記されているものを購入しましょう。(MFiは “Mad For iPhone” の省略らしいです)
仕方がないので、iPhone 12 Pro Maxに付属していたPD高速充電に対応した接続ケーブルを徴発します。さすがに結果は、大したものでした。
今まで3時間かかっていた充電時間が、2時間で済むようになりました。何より嬉しいのは、わずか30分で50%も充電できることです。
開始時点 | 殆どゼロ |
---|---|
30分 | 53% |
1時間 | 79% |
1.5時間 | 90% |
2時間 | 99% |
きっちり100%になったのは、2時間4分のことでした。本当にAppleのいう通り、30分で50%まで充電できました。ちなみにいつもの充電器とケーブルだと約3時間でした。
いつもの私は会議の30分くらい前から準備を始めるので、iPhone 8のバッテリー不足に気づいて真っ青になっても、30分程度の充電時間を確保できる訳です。
おかげで今までスピーカーフォン頼みでしたけれども、これからはイヤホンマイクでWeb会議に参加可能です。
と、いうことで、「黒いことだけが取り柄な、大変に高価な標準接続ケーブル」を入手したのでした。
とりあえず悲しい出費でしたけれども、スッキリ短め(15cm)のケーブルを入手することが出来ました。高速充電のノウハウも蓄積できました。
なんか冷静になって考えてみると、1時間以降は大して高速充電の恩恵はないみたいです。もうやる気が出ませんけど、USB 3.0規格の標準ケーブルと大差ないようです。
何とか、めでたしめでたしというところでしょうか。(家族の体調も元に戻りましたし)
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成:よつばせい