最近はiPhoneや12.9インチiPad Proで仕事を済ませてしまうことが多くなって来ました。LiquidLogicというテキストエディタのおかげです。
そういう話を記事にしたら、TwitterでLiquidLogic公式さんにフォローされてしまいました。この業界は広いようで狭いです。どこでお会いするか分かりません。
慌ててホームページを確認すると、Windows版のMIFESはバージョン10が2018年にリリースされていました。相変わらず健在のようです。(だからこそ、iPhone/iPad向けにLiquidLogicが登場している)
と、いうことで、慌ててMIFESをMacbook Pro Mid 2009のWindows 10環境にインストールしました。さっそくレビューさせて頂くことにします。
(我ながら何が「ということで」なのだか情けない … )
そもそもテキストエディタとは
MicrosoftはWindows のツールとして、昔から「メモ帳」というツールを提供しています。テキストデータを編集(加工)するためのツールであり、テキストエディタと呼ばれています。
ちなみにiPadやiPhoneの「メモ」はテキストエディタではありません。
テキストデータとは、日本語やアルファベットや改行記号などの「文字列」だけで構成されたデータのことです。文字の大きさや行間といった情報は含まれていません。
世界的な標準規格(文字コード)があるので、その規格に従ったプログラムを作ることは簡単です。だからプログラム間でデータをやり取りすことが簡単です。
一方で文字の大きさや行間といった情報まで含むデータは、リッチテキストデータなどと呼ばれています。これはAppleやMicrosoftといった企業によって独自の形式であり、リッチテキストデータを取り扱うことは大変面倒です。
例えばiPhoneの「メモ」で作成したデータをWordPressブログの編集画面に流し込もうとすると、流し込むこと自体は可能なものの、自動的に半角スペース記号まで追加されたりします。またHTMLタグと呼ばれる特殊文字列は、文字列と認識されなくなったりします。
極端な場合、半角アルファベットが全角アルファベットになってしまい、英語環境のパソコンでは文字化けしたデータ表示になってしまうことさえ起こります。
それだけではありません。テキストデータというのは日本語やアルファベットや改行記号などの文字列データだけで構成されているので、並べ変える処理が簡単です。それから特定の単語だけを検索して置換するような作業も、文字列データだけの方が簡単に実行できます。
つまりMicrosoft WordやExcelのような豪華ソフトウェアだと実行できないような「単純な繰り返し処理」でも、テキストエディタだったら実行可能だったりします。
特にコンピュータの処理能力が現在ほど進歩していなかった過去においては、テキストエディタは大変に重宝するツールでした。昔はMicrosoft Officeも登場したばかりで、動画再生などもパソコンの能力では無理でした。そもそもパソコンが100万円を越える時代なんかもありました。
しかし最近はコンピュータの高機能化が進み、テキストエディタの出番も徐々に減って来ました。それでもWordPressブログでの記事作成や、検索結果の一覧表示を並べ替えるような作業では、相変わらずMicrosoft Excelよりもテキストエディタの方が便利な場合が多いです。
それで今でもWindowsには「メモ帳」が付属しているし、最近では文章編集ツールとして使いものになって来たiPadやiPhoneでも、テキストエディタが提供されるようになって来た訳です。
MIFESが他製品よりも良い点
さてテキストエディタはMicrosoft Officeよりも軽くてシンプルに開発されているので、小チームで開発することが可能です。そういった事情もあって、過去に幾つものテキストエディタが登場しました。
人間の数だけやりたいことが存在するように、テキストエディタを利用する目的も「人それぞれ」です。そういった多様なニーズに対応するため、微妙に異なったテキストエディタが誕生した訳です。
またテキストデータには会議の議事メモのようなものから、プログラムのソースコードや、果てはWordPressブログの表示データ(HTMLデータ)といったものまで存在します。
それぞれのテキストエディタにより、「この分野のこれ」という得意領域が異なっている訳です。「初心者が扱うのに便利で見やすい」とか、逆に「プロ向けに高機能だけど扱いにくい」といった特性差も存在します。
映画 “ローマの休日” に喩えて表現すると、「それぞれのエディタに、それぞれ良いところがあります」というところでしょうか。私の会社では三事業部門がそれぞれ異なったエディタを制式採用しており、宗教戦争といった趣さえあります。
ちなみに私が昔所属していた職場にはシャア・アズナブルのように圧倒的な実力を持つ人物がいて、彼の尽力によって秀丸エディタが採用されました。シンプルで軽快なおかげか、コスパも良い点が特長です。
一方で数年前の職場の課長さんの要望に応じて調達したのが、EmEditorです。これはフリーソフトでも利用可能ですけど、商用として個人購入すると相当に良い価格です。その代わりにプラグイン等が充実しており、高速かつ高機能な点が特長です。
ちなみに私が最初に使っていたのは、MIFES(MIFES-mini)でした。HP200LXというポケットコンピュータの日本語化キットに同梱されていたのです。
MIFESの特長は歴史が長いことを活かして、万人が満足するように開発されている点です。国産車に喩えると、トヨタのレクサスあたりが妥当でしょうか。GUI(表示や操作性)が洗練されていて、豊富な機能を直観的に利用できます。
もちろんテキストエディタなので、基本的な動作速度が遅いということはありません。メモリ消費量も少ないです。だからMacbook Pro Mid 2009という博物館入りの旧式ノートブックPCでも、快適に動作しています。
レクサスと同じなのは、「自分がイメージしたように走って、車庫入れなどの不慣れな操作もバッチリ」というところです。例えば現在は黒板風の表示形式にカスタマイズしていますけど、秀丸だとGoogle検索の労力と数時間の設定時間を必要としました。それがMIFESだと30分かからずに完了しました。
特定文字の検索や行の並べ替えといったデータ処理作業は、もともとMIFESの得意分野です。その手の作業には “正規表現” を使えると助かりますけど、もちろん「バッチリ」です。
そしてHTMLデータを編集しようとしたら、自動的にテキストファイルの内容ががHTMLデータだと判断して、表示内容をHTML向けに変更してくれます。いつの間にか、テキストエディタなのにHTML構文解析まで自動実行されるようになっています。
これ、EmEdtitorなどでも可能ですけれども、HTML編集用のプラグインを追加する必要があります。そういった操作を必要としないところが、「レクサス」に喩える所以です。
こちらの考えを先回りして、MIFESの方でソツなく対応してくれるのです。カッコ記号の終端側の自動追加なども、デフォルトでオンになっているので使いやすいです。
やはり200万本も売れたという伝説級のテキストエディタは、「誰でも使いこなせる」という便利さがスゴいです。「戦いは、二手三手先を読むものだよ」という某アニメのセリフがありますけど、それがMIFESというテキストエディタで実現されている訳です。
こういった訳で、これから始めてテキストエディタを本格的に使い始めようとする若者へのオススメは、MIFES一択となります。もう現在は、プログラムが何が出来るかを調べてから使い始める時代ではありません。
しかし一方で、最初から自分がやりたいことをイメージ出来れば、もう立派なプロの技術者です。そういうのは難しいから、現在はMicrosoft Officeが普及している訳です。それと最も似ているテキストエディタがMIFESだと言えます。
MIFESが他製品よりも悪い点
もちろんMIFESの万人向けに使いやすい操作性と、必要な機能を全て備えている多機能性は、欠点が全く無い訳ではありません。
まずSEO分析の専門家の辻正浩さんは、熱烈なEmEditorユーザです。彼のようなデータ分析のプロは、万人向けに使いやすい操作性は必要としません。つまり「ともかく機能性と速さを最優先!」といった人には、わざわざEmEditorからMIFESへ乗り換える必要性が無いのです。EmEditorがベストです。
なおMIFESの最大の欠点は、「個人で利用する場合の価格」です。一度購入したら一生ずっと使い続けることの出来る “永年利用ライセンス” が提供されていません。バージョンアップ版が出たら、最新版への移行版を購入することが必要です。
最近の企業向けソフトウェア業界で流行している “サブスクリプション契約” に近いです。EmEditorのような高価格ではないけれども、継続的に開発元へMIFES利用で得た利益の中から若干の対価を支払って継続利用するというコンセプトです。
企業が製品として利用する場合、何かあった時にはちゃんとサポートして貰えることが重要です。そのためには開発技術者を維持する必要があり、これは仕方のないことだとも言えます。
あとは本当に重箱の隅を突いたような “細かい部分” のカスタマイズが得意ではありません。例えば文字入力している箇所の変換領域の色を変えることは、今のところMacbookのMIFESでは変更方法を捜索中の段階です。
これが秀丸エディタだと、定義ファイルを直接読んで書き換えるといったことが可能です。まあレクサスを自分仕様にギンギンにカスタマイズするのは、本来的なレクサスの乗り方ではありません。
それにあまり細かい仕様までユーザに見せると、逆に入門ユーザは混乱することが多いです。そういう意味では、このMIFESの「製品仕様」は「理に適っている」と言えます。
まとめ
以上の通りで、MIFESは本当に使いやすいテキストエディタです。おそらく技術肌コテコテの指導者に師事しない限り、「テキストエディタを使うならばMIFES一択」ということになるでしょう。
私も自分の子供に勧めるとしたら、「まずはMIFESを使ってみろ」です。子供が自分で使いこなすにしても、子供から他人に勧めるにしても、MIFESが最も無難な選択枝です。
他のテキストエディタは、残念ですけれども開発者と共に消え去るような予感もし始めています。年寄りが今からデータ処理業務に携わるとしても、MIFESが最も取り組みやすいでしょう。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
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記事作成: よつばせい